AITCニュースレター

第21号 - 2019年4月

コンテキスト・コンピューティング研究部会の研究成果を発表
〜 データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2019) 〜

昨年に引き続き「第11回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM)」にて、コンテキスト・コンピューティング研究部会の活動成果を論文にまとめて投稿し、発表してきました。

DEIMは、データ工学と情報マネジメントに関する様々な研究テーマの議論を目的とした合宿形式のワークショップです。 DEIM2019は、2019年3月4日から6日までの期間で、長崎県佐世保市のハウステンボス町のホテルで開催されました。 今年度は、2つの招待講演をはじめ、294のインタラクティブセッション、353の口頭発表などがありました。 参加者が過去最多の700名を超える規模で、大学・大学院の先生や学生だけでなく、企業や研究機関の研究者・技術者も多く、アカデミックな内容に偏ることなく、多様な視点で議論されていました。 さらに、BoFセッションでは、レジェンドたる大先生方の大喜利形式の本音トークや、若手研究者へのトップ会議に臨むためのノウハウの伝授もあり、夜を徹しての議論と交流の場となっていました。

我々は「コンテンツの信頼性評価に関する考察」というタイトルで、社会知を個人の意思決定に役立つものとするために、信頼概念を整理し、コンテンツ(情報の内容)の信頼性評価には論理性と主観が重要であることを、プロスペクト理論などをもとに考察し、協働プロジェクト「空気を読む家」の「消費期限切れを起こさないキッチン」での活用案に関する内容の発表をしました。 インタラクティブセッションは、2日に分かれてA0サイズで作成した研究内容を記載したポスターを掲示し、立食形式で食事を摂りながら二時間半程度議論するセッションです。 我々は初日の夜の割当で、大学院の先生や学生の方々に説明し、議論させていただきました。 ここでは、関連する研究をなさっている先生方から、「信頼性と信憑性の違い」や「議論の重要性」、「信頼の構造」、「議論の成果の可視化」などを議論することができました。

そして、翌日の8時から一般セッションで口頭発表をしました。 前回の質疑応答の時間が充分取れなかった反省から、発表スライドを削って本番に臨みました。 発表しても何も反応がないと寂しいですが、関西学院大の角谷先生や武蔵野大の中西先生などから、情報の収集方法や構築した知の探索方法、適用する課題領域と言った活発な質問・提案があり、検討が不充分な点や社会知の構築シナリオに関して重要なヒントをいただくことができました。 発表後には、慶応義塾大の学生の方が「興味があるので参照させてほしい」とのお話をいただいたり、昨年のDEIMでコメントをいただいた静岡大の山本先生を「信頼性や信憑性のエキスパート」としてご紹介いただいたりしました。 また、セッションの座長の国立情報学研究所の神門先生がトゥールミン・モデルを使って研究をされているとのことで、お話をうかがう機会をいただければと考えています。

今回は、前回よりたくさんの方から、多くのフィードバックをいただくことができ、大きな成果がありました。 これらを生かして、部会活動を洗練させていくことができると考えています。

二日目の夕方の招待講演は、東京大の池内先生が「劇甚化する水害に対する備え」というタイトルで、近年、国内外で発生している豪雨による災害についての現場の状況をふまえて、今後の防災上の課題と、防災分野におけるICT、オープンデータの活用についてお話されました。 内容は、毎年のように観測史上最悪の状況が同時多発的に発生しており、今後も激甚な水害が増加するとの予測から、行政は企業と連携し、法律を改正しながら対策をうっているが、最終的には住民の防災リテラシーの向上が鍵となる、とのことでした。 この防災リテラシー向上のためには、防災タイムライン(時系列に整理した防災計画)の作成や臨場感を持った避難訓練が重要とのことです。 前回の協働プロジェクトであるProject LAでは、水害避難シミュレーションを実施しているので、強い関連性を感じました。

最後になりましたが、今年度も発表の機会を与えてくださったみなさまと、日頃の部会の活動し議論している部会メンバーに感謝いたします。

「身近になったAI開発シリーズ」開始!

2016年以来、AITCでは会員企業を対象に「TensorFlow勉強会」を開催し、研鑽の成果を発表するとともに資料を公開してきました。プログラマーでなければハードルが高いと実感したTensorFlowに比べ、最近は様々なツールが誕生し、AI開発がぐっと身近になってきました。 そこで、この1月から「身近になったAI開発」シリーズを開始!

第1回はグルーブノーツの最首社長から「MAGELLAN BLOCKS」を、第2回はソニーの小林様から「Neural Network Console」をご紹介いただき、大好評を博しました。

4月以降はAITC会員限定の勉強会と試作会を開催し、少人数で切磋琢磨しながらスキルとノウハウの習得を目指します。

開催案内をお見逃しなく、奮ってご参加ください。

ソフトウエアジャパン2019で
協働プロジェクト『空気を読む家』第5のシナリオを発表

2019年2月5日に開催されるソフトウエアジャパン2019 ITフォーラムセッションにて、協働プロジェクト『空気を読む家』の発表を行いました。 今回のテーマは「キッチン」で、特に冷蔵庫の中に注目して議論や実験を各部会で行った成果をまとめました。

普段、特に意識せずに使用している冷蔵庫ですが、ヒアリングをかけてみると家庭ごとに異なる使われ方をしていたため、マンガによるイメージの統一がとても役に立ちました。 また、各部会で作成したデモが空間OSにより結合した様子も、無事にお見せできました。

発表資料は、以下のリンクからご覧いただけます。

  1. 概要
  2. マンガ駆動開発
  3. IoTでデータ収集
  4. IoTでデータ収集(2)
  5. 空間OS
  6. スマートスピーカー
  7. コンテキスト

参加できなかった人は、是非、発表資料だけでもご覧ください。

いま知っておきたい AITCのできごと

近々、「量子コンピューティング シリーズ」を開始予定!

「量子コンピューティング」は、昨秋の第9回総会(2018年10月1日開催)で今期の活動対象テクノロジーとして追加され、東北大学大学院准教授の大関様真之様より総会記念講演として「量子アニーリングが示す社会の未来像」についてご講演いただきました。

この度、開催準備が整ったに伴い「量子コンピューティング シリーズ」としてセミナー(座学中心)による情報提供ならびに勉強会(ハンズオン中心)によるスキル習得の場のご提供を開始いたします。 量子コンピューティングにご関心をお持ちの方、開催案内をご参照の上、奮ってご参加ください。