AITCニュースレター

第8号 - 2016年1月

AITCニュースレターをご覧のみなさま、あけましておめでとうございます。AITC のイメージキャラクター『ハルミン』です。

2015年10月に行われた第六回総会では、AITCの活動にとって大きな意味を持つ決議が行われました。会期の変更です。活動期間が5年間延長され、会期末は2021 年8月31日となります。これからの数年間、IoT/AIだけにとどまらず、東京オリンピックに向けて新しい技術が生まれ、実用化していくでしょう。私たちはオリンピック後を見据えながら、新しい技術領域を検証し、次の時代に向けた先端IT活用推進の提案、提言を行い、2021年にAITC活動を総括することを目指します。

新しい飛躍に向け、今年もよろしくお願いいたします。

空間OS inside 空気を読む家

AITC meets IoT

2015年は、まさにIoTの年となりました。IoT特集の雑誌が続々刊行され、飛び交う話題が、「IoTって何?」から、「IoTで何をしようか?」に変わった年といっても過言ではないでしょう。AITCでは、2014年からオープンラボでIoT勉強会をシリーズ化、それに触発されて2015年にはシニア勉強会とAITC女子会でと、様々な形でIoTに取り組んできました。2016年は、ガジェットとして楽しむIoTだけではなく、家庭でも実用品として使われるIoTが見られるようになるかもしれません。AITCでも更に取り組みを深め、協働プロジェクト「空気を読む家」を中心に「IoTで居心地の良い家」を試行します。

デバイス主導のスマートハウスへ

IoTが家の中で活用されると、スマートハウスが現実になります。これまでに考えられたスマートハウスは、住宅ベンダーが提供するスマートハウスでした。それらは電力などのインフラをスマートにする、どちらかといえば開発者目線のものです。対して、デバイス主導で実現されるスマートハウスは、手の届くところから徐々に普及していく、ユーザ目線のスマートハウスです。エアコンや、テレビや、冷蔵庫や、あるいはまだ見たこともないデバイスが、私たちに新しい便利さや楽しさを提供してくれるなんて、考えただけでわくわくしますね。

『空間OS』で『総連携』へ

そんな夢のようなスマートハウスですが、いいことばかりではありません。今のシンプルな家電でも、取扱説明書を読むのは億劫ですよね。これがスマートフォンで操作できる家電となったらどうなるでしょう。テレビだけでも、複数のアプリが必要だったり、メーカー毎にまたそれぞれ使い方が違ったり、家電を買ってきて使い始めるまでに沢山設定したり、楽しいはずの未来が、なんだかとても面倒くさいものに思えてきます。

それに、単にエアコンをスマートフォンから操作するだけなんて、もったいない気がしませんか? それぞれのデバイスがそれぞれ繋がったら、何か凄いことが出来るような気がします。私たちが実現する未来は、単に今あるものの延長ではなく、今までに無かった経験であるべきではないでしょうか。

それを解決、実現するのが『空間OS』です。空間OSは、その空間にあるデバイスを抽象化し、共通の枠組みで様々なアプリケーションを構築するプラットフォームです。空間OSはこんな機能を持っています。

  • 異なるメーカーや異なる分野のデバイスが情報を共有したり、意図を伝えあったりするための共通の語彙。
  • 空間内にある任意のデバイスや、空間に関係する人を論理的につなぐ通信手段。
  • 空間内の過去から現在にわたる情報の記録と、利用目的に応じたアクセス制御を行うストレージ。

家電を連携するというのは、これまでも行われてきた試みです。例えば、私のテレビのリモコンでは、ブルーレイプレーヤーを操作できます。便利ですね。しかし、メーカー主導では、そのメーカーだけの連携となってしまいます。買ってきた冷蔵庫とテレビがすぐに通信を行うなんてことは到底実現できません。

空間OSのテーマは、「総連携」です。全てのデバイスが連携して、ユーザーの居心地の良さをサポートする。ユーザーは取扱説明書を読む必要が無い。なんてスマートな未来でしょう。

  • 一社ではできない活動、競合関係を超えた活動
  • 特定企業や団体からの独立性・中立性
  • 外部組織・団体との協業

空間OSというのは、活動理念にこれらを掲げるAITCだからこそ実現できるスキームかもしれません。

空気を読む家

そんな新しい家の形を更に一歩進めて、「居心地の良さを考えて、実現する家」を考えてみるのが、『空気を読む家』です。空気を読む家のこれまでの活動については、前号のニュースレターでご紹介しました。また、2016年2月4日に開催する、ソフトウェアジャパン2016で、AITCは『空気を読む家』の講演を行います。空間OSの詳細と、最新の『空気を読む家』についてご紹介します。是非ご来場ください。

2016年2月4日 ソフトウェアジャパン2016 ITフォーラム
(会場:国立情報学研究所12F会議室1208)

いま知っておきたい AITCのできごと

AITCでは、コンソーシアムの趣旨に賛同し、部会活動などに参加、ご協力いただける会員を募集しています。新たに入会された法人会員に、入会の動機や活動への期待について、一言いただきました。次のITを、ともに目指しましょう。
新会員紹介:CSPフロンティア研究所様
弊社はセントラル警備保障(株)の100%子会社として警備機器の研究開発、および 機材検証等を行っております。AITC加入のきっかけはオープンラボへの参加です。
人工知能、IoT、 DeepLearningと、警備業界においても重要になると思われる内容を取り上げてい たので、タイミングがぴったりでした。また、新協働プロジェクト「空気を読む家」のコンセプトに共感し、何かしらお 手伝いができればと思い加入を決めました。よろしくお願いいたします。
新会員紹介:株式会社ミツエーリンクス様
はじめまして。株式会社ミツエーリンクスの黄と申します。ミツエーリンクスは、コミュニケーションをデザインしている企業です。Webサイトのユーザービリティやアクセシビリティのためのソリューション、映像・音声制作、アプリ開発などのコンテンツ制作技術をもとに、ユーザーにとって価値のあるものを継続的な研究やコミュニケーションを通して提供しています。AITCには、研究されている先進IT活用のノウハウを学びつつ、メンバーの方々と研究・開発・議論を行い、先進ITを活用する視野を広げたく参加させていただきました。
特に、それぞれの専門性の高い部会(クラウド・テクノロジー活用、コンテキスト・コンピューティング研究、ビジネスAR研究、UX技術、NUI活用など)と、それらの活動を総合した、ユーザーにより良い価値を提供しようとする協働プロジェクトに注目しています。各活動に積極的に参加したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。