AITCニュースレター

第7号 - 2015年10月

協働プロジェクト『空気を読む家』本格始動!

AITCでは、5つの部会が、それぞれ担当する先端IT分野の調査・研究および実装といった活動を行っています。協働プロジェクトでは、一つのテーマのもとに、部会が集結・連携し、実証実験システムを構築することで、先端ITの有用性を検証、評価しています。

2011年〜2015年にかけて実施した協働プロジェクト『ProjectLA』に続く、新しい協働プロジェクト『空気を読む家』がいよいよ本格的始動しました。

9月16日に開催された第五回 活動成果発表会では、『空気を読む家』についてコンセプトを紹介し、その第一弾の実証実験システムとして、空気を読む家の玄関をテーマに、マンガ駆動開発でデザインしたユーザー体験をデモ実演と、そこで使われている『空間OS』をはじめとする先端ITについて紹介しました。

『空気を読む家』プレスリリース

コンセプト

空気を読む家は「居心地の良さを考えて、実現する家」です。

空気を読む家は、私たちに必要なことを考えそれを実現する家です。赤ちゃんが泣いていたら、お父さんお母さんは何故泣いているのかを考え、ケガをしていないか確認して、オムツを替えたり、ミルクをあげたり、あやしたりします。お父さんお母さんは、赤ちゃんに対して常に目を配り、微妙な変化を読みとります。赤ちゃんにとって、お父さんお母さんは、安心できる居心地のいいところです。
家は私たちを守る、居心地のいいところです。空気を読む家は、私たちが泣いている時に私たちが笑えるように手助けをします。お父さんお母さんが赤ちゃんに何故泣いているのか説明を求めないように、空気を読む家も私たちに説明を求めません。私たちの行動を見て、世の中の知恵を取り入れて、空気を読む家は私たちといっしょに成長し、変化します。

デモ

『空気を読む家』の玄関は、住人や訪問者を理解し、状況に応じて適切な対応を行います。

デモでは、住人が家からいなくなったことを見計らって掃除を始める掃除機や、帰宅すると玄関や居室の明りを点灯する玄関を実演しました。

ユーザーエクスペリエンス技術部会

ユーザーエクスペリエンス技術部会では、AITC発のUXアーキテクトプロセス「マンガ駆動開発」のデザイン、実践を行っています。『空気を読む家』においても、「マンガ駆動開発」プロセスを活用し、UXを重視したサービスデザインを進めています。デモでもマンガを活用した寸劇を行いました。

ビジネスAR研究部会

ビジネスAR研究部会では、ビジネスAR研究部会発のコンセプトである、「空間OS」の定義、実装を行っています。空間OSは、『空気を読む家』の中核となるシステムです。空間OSとは、様々なデバイスを連携させる「メタOS」であり、ある場所(空間)にあるデバイスと人を総連携させるしくみです。総連携とは、「異なる分野・メーカーの連携」、「人と機械の連携」、「現在と未来の連携」を意味します。第五回成果発表会では、『空気を読む家』のデモを踏まえ、空間OSの詳細な説明を行いました。

クラウド・テクノロジー活用部会

クラウド・テクノロジー活用部会では、測定、収集、蓄積、分析、出力の分野で、Arduinoやセンサー、カメラ、機械学習、ディープラーニングなどの技術を活用を行っています。今回のデモでは、『空気を読む家』の玄関に設置したカメラの映像から、玄関前人認証の実装を行いました。ここでは、OpenCV、Caffe等の技術が使用されています。

ナチュラルユーザーインターフェース活用部会

ナチュラルユーザーインターフェース活用部会では、NUI技術の調査、NUIデバイスを用いたアプリ試作を行っています。『空気を読む家』では、空間OSから提供される情報に基づいて、家庭内の照明を制御するデモシステムを構築しました。

コンテキスト・コンピューティング研究部会

コンテキスト・コンピューティング研究部会では、情報推薦技術、集合知をベースとした、価値共創と知識循環のシステムを構築しています。『空気を読む家』では、コンテキスト・コンピューティングを応用として、「正解」や「総意」がない課題に対する、「適正解」、「妥協点」を探るためのプロセスを実装します。

『空気を読む家』プロジェクトの成果は、広く一般に公開していく計画です。玄関からスタートし、家全体に広がっていく『空気を読む家』に、是非リアルタイムでご参加ください。

いま知っておきたい AITCのできごと

AITCでは、コンソーシアムの趣旨に賛同し、部会活動などに参加、ご協力いただける会員を募集しています。新たに入会された法人会員に、入会の動機や活動への期待について、一言いただきました。次のITを、ともに目指しましょう。
リコージャパン株式会社様
この度入会させていただきましたリコージャパン株式会社です。元々、リコーITソリューションズが会員でしたが、2014年7月にリコーITソリューションズの一部を統合し、販売、サービス、ソリューションの機能が一体となった「新生リコージャパン」として発足しました。
リコージャパンとして、先端IT技術者育成を通じたお客様への新しい価値の提供を目指し活動したいと考えております。皆様、よろしくお願いいたします。
合同会社アライアンス・ポート様
現実世界と情報をつなぐインターフェイスやデバイスはまずます多様になってきており、私たち、情報デザインをメインに活動する企業にとっても、先端ITの動向をしっかりと把握することは必要不可欠になってきたと感じています。
AITCの活動を知り、会員の皆様の素晴らしいノウハウやアプローチに触れ、自らも手を動かしてトライし、情報と人の良い関係を構築するという企業理念をさらに実践したいと考え、入会いたしました。今後ともよろしくお願いいたします。
ナレジックス株式会社様
みなさま初めまして、ナレジックス株式会社の西野と申します。 昨年度から何度かビジネスAR研究部会にお邪魔していました。弊社はプレゼンテーションツールやアプリなどを、デザインプロトタイピング等の手法を使って具現化するお手伝いをしています。また常に新しい技術やメディアを体験し、そこに集う方々と楽しく遊び続けるというミッションもあります。
ビジネスAR研究部会のみなさんとのご縁も、デジタルハリウッド大学院の三淵先生のゼミでGoogleGlassのハンズオンをさせていただいた際、お会いしたことがきっかけでした。 私個人の活動としては、子どもにプログラミングを教えるワークショップや、アイディアソンやハッカソンの企画のお手伝いなどをしています。 今後は、ビジネスAR研究部会以外の部会にお邪魔したいと思いますので、よろしくお願いいたします!
第6回総会を開催します
今年度の総会を開催します。日時、会場等、詳細は追ってウェブサイトにてご案内します。皆様のご参加をお待ちしております。