内閣府「新たな社会像と取り組むべきICTに関する課題に対する意見募集」への意見提出

2014年1月15日 先端IT活用推進コンソーシアム会員各位 先端IT活用推進コンソーシアム 運営委員会 ビジネスAR研究部会

内閣府「新たな社会像と取り組むべきICTに関する課題に対する意見募集」
への意見提出

このたび、先端IT活用推進コンソーシアム及びビジネスAR研究部会は、内閣府が昨年12月に実施した「新たな社会像と取り組むべきICTに関する課題に対する意見募集」に対して、2件の意見提出を行いました。

○意見提出の狙い
先端IT活用推進コンソーシアムは、安定性や機密性が求められる社会基盤にも先端ITが広く活用されることを目指して、日々各種の活動を行っています。 これまでの活動の中で、具体化された将来の社会像・ビジョンや、これらを実現するための課題を、このたび意見として提出することで、日本での先端ITに関する研究・検証・実証の活性化のための政策立案につながることを企図する次第です。
○提出した意見
【1】先端IT活用推進コンソーシアムとして提出
1.新たな社会像とその背景(なぜその社会像が描かれるのか):400文字以内
身の回りの無数のコンピュータが連携し、人の一生の生活を支えるようになる。
  • 生活の質の向上と、生活情報のフィードバックによる疾病や介護の発生防止
  • 物質・エネルギー消費の最適化による持続可能な社会
  • ICTが高品質の生活環境を低コストで提供することで、すべての国民の文化的生活を保証かつ持続可能な社会の両立が期待できる。 身の回りのコンピュータの連携で現在のクラウド中心のアーキテクチャだけでは対処できない課題を解決できるようになる。
  • プライバシー情報の局所化と多様な応用
  • 数msのリアルタイム応答
  • ローカルでのサービス継続による災害や事故へのレジリエンス向上
  • 構成要素の不定期の変更を伴う数十年以上に亘るサービスの無停止提供
  • ICTとの密接な連携による人間の能力の増幅
これらはユビキタスコンピューティングの延長上にあるが、技術の進化でより明確に設計できるようになった。
2.前述した新たな社会像の実現に向けて取り組むべきICTに関する課題:400文字以内
技術的にはつぎの項目が課題となる。
  • 構成要素をとりかえても動作しつづける、供給メーカーと時代を超えた相互接続性
  • 時代の変化に合わせて機能を変化させる柔軟性
  • きわめて多様な現場の要求に対処するプログラムの容易性
    (将来は、コンピュータ技術者ではなく、一般人が現場でプログラミングをするようになる)
さらに、この膨大なシステムを運用保守する活動を支えるために、つぎのことを実現する社会システムや法制度が必要となる。
  • ICTを使って、個人を尊重しながらの相互助け合いを可能とする、あらたな「社会常識」の醸成
  • 全国民へ到達するICTの存在を前提とした政治と行政制度の改変
  • 世界とも連携しながら、多様な対象に対して迅速に対応して変化を支える標準化制度の創設
  • 故障や攻撃などのICTの負の側面に対処するための法の制定
【2】ビジネスAR研究部会として提出
※ビジネスAR研究部会は、先端IT活用推進コンソーシアムの部会の一つで、最先端のAR技術の把握と習得およびビジネス推進力のあるAR適用方法・実装方法について研究しています。
1.新たな社会像とその背景(なぜその社会像が描かれるのか):400文字以内
ICT・デジタル技術が物理世界に浸透していくと共に、人間の五感等の感覚をICTにより拡張含め操作する技術(AR:Augmented Reality(拡張現実感)または、Augmented Real(拡張現実))も普及していくと、2030年には、人間は現実世界の大半をICT・デジタル技術を介して認識、かつ操作するようになっている可能性が高い。
具体的には、物理世界のオブジェクト(物体)に複数のセンサー及びAPIが備わり、物体が影響を及ぼす(サービス対象となる)人間の個性に合わせて動作をするように、配置されている空間の管理者が、複数のオブジェクトのAPIを組み合わせる形で予めソフトウェアを設計するといったアーキテクチャにより実現される。
このことで、自在な行動が困難な障がい者、高齢者を始めとする、多くの人間にとって「優しい現実世界」が実現することが想定される。
2.前述した新たな社会像の実現に向けて取り組むべきICTに関する課題:400文字以内
(1)「個性に合わせたICTサービスを複数の物体が連携しながら提供する」ことを研究機関、民間企業、NPO、個人等が試行錯誤できる「物理的な場」の提供(※完全自動運転車のテストベッドも本場の一部と位置づけられる。)となる。万が一の事故に備えた保険の提供も含めた「リスク分散のあり方」も視野に入れた、特区制度の導入が求められる。
(2)現在の日本においては、官庁、研究機関、民間企業などで概ね2年、ベンチャーキャピタルにおいても5年前後で成果を出す事を前提とした投資しかできない現実がある。従って、10〜20年先を視野に入れた技術やサービスの研究開発に資金が回るような本格的な制度設計が求められる。
(3)物体のAPIは、サービス提供企業が消滅しても代替提供が可能となるように、オープン化を前提とするサービスデザインが求められる。
※「3.その他(課題の解決に向けた問題意識、有用な情報提供等):400文字以内」については、先端IT活用推進コンソーシアムやビジネスAR研究部会の活動内容を記載したため、省略します。
○参考情報